色彩論での三原色

ゲーテは色彩論の前書きで「色彩は光の行為である。行為であり、受苦である。」と述べています。そして色によって人間にもたらす作用も論じています。ゲーテの色彩論では「色の三原色」を論じています。そして分割主義は、このゲーテの三原色に色分割するというのが基本の考え方になっています。補色の関係にある2つの色を混合することで暗い色に、そしてこの同じ色を隣り合わせに並べると、色彩がより鮮やかに眼に知覚されるという色彩論に影響を受けているため、新印象派は「色を三原色に分割する」という手法になっています。

ゲーテの説く三原色

ゲーテは光に一番近い色が黄色で、闇に一番近い色が青だとしています。くもった媒質を通して光を見ると黄色が、闇を見ると青色が生じるからです。ゲーテはプリズムの実験をすることで、黄色と青を両極とする色彩論を展開していきます。

白い紙の上に置くのは黒い細長い紙片です。そしてそれをプリズムを通して眺めることで、上から順に青、紫、赤、橙、黄という色が並んで見えきます。プリズムと眼の角度を調整して、色を重ねて行くとこの並びは最終的に「青、赤、黄」となります。ゲーテはこの「青・赤・黄」を色の三原色としました。そしてこの色の三原色を中心として、ダイナミックな動きを内包する「色彩環」を提唱しました。

ゲーテの色彩環では、赤を頂点として黄と青を両端とする三角形です。そして緑を下の頂点としながら橙と紫を両端とする逆向きの三角形が重ね合わされたものになっています。赤と黄の間に橙、赤と青の間に紫が配置されます。この六角形では、赤に対しては緑、黄に対しては紫、青に対しては橙が反対の所に位置しています。

色彩感

色彩環では対になっている色を、私たちの目が実際に対として捉えていることを、ゲーテは残像の実験によって確かめています。その方法は、白紙の上に色を付けた紙片を置いてそれをじっと見つめます。しばらくしてから色付きの紙片を取り去ると、白紙の上に紙片の色とは違う色の残像が浮かび上がってきます。その残像の色こそが、対になっている色になるため、赤は緑、黄は紫、青は橙の残像を出現させます。よって、ここにも「対立する色が呼び求め合う働き、分極性」が見出されることになります。色彩は静止したものではなく、色彩自身が内部に力を有して運動するものになっていて、動きもその単独それぞれの色ではなく、他の色と結びついた動き。というこの考え方は、色を有機的にそして生命的に捉えたものだと言えます。

「色彩環」は色彩現象の全体を包括します。それはとても神秘的な形をしていて、一と全、特殊と普遍の合一を示しているからです。ニュートン的なスペクトルでは、色彩は色光の波長によって赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の直線として分析されているため、円を描くといったことはありません。色彩環は数量化された自然ではなく、人間が感覚する自然を探求したゲーテの姿勢から見いだされたものだと言えるでしょう。

ゲーテの色彩環は、活動しながら新たなる色彩を生み出していく、まさに生きた自然の秩序を表したものになっています。多種多様な色彩現象を、その種々で異なる段階に固定していき、並列したまま眺めてみると全体性がうまれます。そしてここで生まれた全体性こそが、眼からみると調和そのものになるからです。

眼は単なる青や黄にも満足することはなく、それ以外の色を求めます。黄と青は呼び求めあって、結合することで「第三の赤」という高度なものを生み出すといいます。「第三の赤」は、ただ黄と青が混ざったというわけでもなく、黄が橙になり、そして青が紫を経たその高みで合一した「第三の赤」になります。黄色と青の絵の具はそのまま混ぜれば緑色になります。ここにこそ、ゲーテが分極性とならんで自然の中に見いだした力、「高昇(こうしょう)の働き」があります。ここでの高昇、つまり高く昇るということは、自らを高めることで発展させようとする上昇意欲になります。赤は高昇の働きを経て合一したぶんだけ、とてもエネルギーに充ちた力強い赤色になっています。

それぞれの色の効果

紫、パープルの色は高貴な色とされています。紫には皇帝や国王が着用する緋の衣という意味があるからです。ゲーテは人間に体験される色彩を探求したからこそ、色彩もが人間の精神に与える影響のことも扱っています。色彩が人間に与える影響も、色彩環から説明されています。

赤は、色彩環の中で頂点になる色の中でも特に最も力強い色ですが、その対極にある、色彩環の一番下に位置する緑はどのような色かというと、地面に根を下ろした安定した色が赤の対極にある緑になります。

光に近い色になっている黄色、そして黄色に近い橙などはプラスの作用をする色となっています。つまり快活で元気良く、何かを何か求めるような高揚した気分をもたらします。そして闇に近い色になる青、そして青に近い紫の色などはマイナスの作用になります。つまり不安で弱々しく、何かを憧憬するような気分をもたらすとゲーテは言っています。そのため、ゲーテは色彩論の中で人間の精神は、不思議と色彩環が示す秩序の影響を受けているように見えるとまで述べています。

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