新印象派の点画主義に焦点を絞った美術展覧会

オランダにあるクレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心にした『【印象派を超えてー点描の画家たち】ゴッホ、スーラからモンドリアンまで』の美術展覧会が開催されました。

国立新美術館では2013年10月4日~12月23日、広島県立美術館では2014年1月2日~2月16日、愛知県美術館では2014年3月3日~4月6日と日本の三都市で大好評を博しました。この美術展覧会ではクレラ・ミュラー美術館所蔵作品の中から、シニャック、スーラ、モンドリアン、ファン・ゴッホといった印象派を代表する作家から、20世紀美術へとつなげた作家を紹介する展示構成になっていて20世紀最大ともいえるコレクションが来日しました。

クレラー=ミュラー夫妻の収集作品数は1907年にポール・ゴーギャンの作品から始まりやがて急激に増えていきます。数年後には、ヘレーネ・クレラー=ミュラーの収集は、ファン・ゴッホ家を除いて世界一のファン・ゴッホ収集家になっていました。ヘレーネ自身も個人的に一番好きだったのがフィンセント・ファン・ゴッホということもあって、ゴッホの作品がコレクションの中心を占めるようになりました。彼女自身が「彼の価値は彼の表現方法、技法だけではなく、彼の偉大で新しい人間性にあるのです。彼は近代の表現主義を生み出しました。」と述べるように、ヘレーネの生涯でオランダ人画家のゴッホの作品を、油絵91点と素描画などの作品175点を購入しています。そして収集のテーマを「分割主義」のコレクション収集にしていたことから、新印象派と呼ばれる作品の数々が豊富にコレクションされています。

DIVISIONISM:分割主義:点画主義

オランダの中央部、オランダ・ヘルダーラント州エーデのオランダ最大の国立公園、デ・ホーヘ・フェーリュウェ内のオッテルロー村にある美術館『クレラ=ミュラー美術館』は、25万㎡という広大な彫刻庭園に囲まれています。美術館の彫刻庭園はヨーロッパ最大規模を誇るほどです。『クレラ=ミュラー美術館』世界的にもフィンセント・ファン・ゴッホに関するコレクションで知られていて、ファン・ゴッホの作品は油彩画88点、デッサン110点にも及び、所蔵の質と量などアムステルダムにあるゴッホ美術館と並んで2大ゴッホ美術館と称されています。

今回の【印象派を超えてー点描の画家たち】では、ファン・ゴッホのコレクションで知られるクレラ=ミュラー美術館の特別協力のもとで、ファン・ゴッホ、スーラ、モンドリアンを中心に、日本国内の所蔵機関の協力を得て、オランダ、フランス、ベルギーの画家達による色彩の探求を検証するものになっています。約90点にも及ぶ珠玉の素描、水彩画、油彩画を通じて、「絵画の真髄」ともいえる色彩の輝きを新しい視点で捉えていく展示です。

第一章・第二章の見どころ

作品をよーーく目を凝らして近くで見ると、点で描かれている珠玉で彩られています。色とりどりの小さな小さなが玉が集まっています。同じ作品を遠くから見ると、とても鮮やかなイメージが浮き上がってきます。点で描かれた絵画は、絵と向き合い鑑賞する人との関係で、同じ絵画でありながら絵の見え方を大きく変えます。

そして、色彩に関しても同じことが言えます。色彩が光の反射になっていて、絶えず違って見えることを印象派の画家達は重視して描きました。そのため色彩の輝くキラメキの瞬間を捉えようと生き生きとした筆で描いていったのです。この技法を理論的に「筆触分割」で追求していったジョルジュ・スーラを始めとした、色の力そして色の魅力を伝えようとした画家達の作品をまとまった点数で展示されているため、1点ではなかなか見えてくることが出来いない画家たちの試行錯誤そしてその成果を作品を通じて辿ることができます。

展覧会の軸となるのは、ジョルジュ・スーラ、ポール・シニャック、フィンセント・ファン・ゴッホ、ピート・モンドリアンですが、その他にフランスの馴染み深いピサロ、シスレー、モネ、ドニ、ゴーギャンなどの画家の他、オランダやベルギーの20世紀を代表するテオ・ファン・レイセルベルヘ、ヤン・トーロップ、ヨハン・トルン・プリッカーといった日本ではめったに目にすることができない優れた画家達の作品も出展されています。著名画家の優れた質の高い作品から、なかなか目にすることが出来ない画家たちの代表作と新たな発見と驚きが凝縮した展覧会です。

出品作品リスト ~I~印象派の筆触

ジヴェルニーの草原

モネの後半生はパリから80キロほど離れたジヴェルニーで暮らしました。「ジヴェルニーの草原」は、連作「積み藁」よりも少し前に描かれました。夏の遅い午後の空がだんだん淡い紫色へと移り変わるひと時、そのあたたかくそしてかぐわしい大気が感じられる作品です。

舟遊び

筆触は対象で描き分けられています。光景に描かれているのはパリ郊外セーヌ河畔にあるシュレーヌの橋です。ボートをこぐ人たちも作品の中に描かれていますが、人物も橋や木そして川の景色の一部として浮き上がった存在ではありません。前景に描かれている木々の葉、手前の水の反射はとても細かい筆で描かれ、重量感のある橋、土手、建物などは大きな筆の動きで描くことで、画面に律動感を表しています。

森のはずれ、6月

シスレーが、レ・サブロンに滞在していた時の作品です。森の中の木や緑が風に揺らいでいるようなその一瞬を捉えているかのようです。森の中にところどころ赤い暖色が作品に暖かみをもたらしています。森の中にひとりの人物が描かれていますが、この人物も背景のひとつとして浮き上がることなく馴染み作品の中から森の香りと風が運ばれるような感覚になります。

エラニーの教会と農園

ピサロが1884年から定住していたエラニーの教会と農園が描かれています。ピサロは1983年にシニャックと出会いそして1985年にスーラと出会います。そして新印象派の科学的な思考と表現にひかれて、ピサロが実験的に挑んだこの作品では、画面の左下に加えられている緑色の筆の動きで、ピサロの新印象派によせる関心が伝わります。当時のピサロを知る貴重な作品です。

曲がった木

この作品をみると、不思議な感覚になります。この作品は構図を安定させるために曲がった樹木を上下に切り取る手法がとられています。あえて曲がった木を描くことで、情景を次第に奥へ奥へと重ねていくからです。この技法は西洋の伝統的な絵画には見ることが出来ない技法になっているため、日本の浮世絵の影響を受けた作品になっています。

出品作品リスト ~Ⅱ~スーラとシニャックー分割主義の誕生と展開

分割主義

色の三原色は『シアン・マゼンタ・イエロー』です。印象派の先人たちは、色彩のきらめきを「感覚」として捉えて描き出していました。スーラーとシニャックに始まった分割主義(Divionismまたは点描画)は、「感覚」ではなく、理論的に追求していき色の三原色を『シアン・マゼンエタ・イエロー』にそれぞれ分割することを生み出しました。ジョルジュ・スーラーは、印象派たちの使った技法をさらに推し進めて点で細かく描く点線主義を確立しました。そして、分割主義を普及させたのはポール・シニャックです。スラーの点はシニャックよりもかなり細かくシニャツクの点の方は比較的大きくなっているのが特徴ですが、ふたりの絵画はとても似ています。

20世紀最大のコレクションのクレラー=ミュラー美術館所蔵作品が来日!点画主義にフォーカスした美術展

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